初めての封入標本づくり

その他

こんにちは。
古生物部屋のSayakaです。

今回はいつもの博物館巡りとは違う内容の記事にしました。
封入標本の作り方をまとめます。
博物館巡りをすると必ずと言ってもいいほどに目にする封入標本は古生物でなくとも展示物として通ずるところがあると思いました。

標本教室で学んだことがお伝えできたらと思います。
(注:この記事は昆虫の写真を使用しています)

標本教室

2月20日に『標本教室』がありました。
講師を務めるのは根津貴博さん。
(Xアカウント→@TakahiroNezu)

根津さんは骨格標本、透明標本、封入標本をはじめとしたさまざまな標本を数多く手掛けられている方です。
この日、ご縁あって標本教室に初参加させていただきました。

私が教室で学んだのは封入標本の作り方です。

大盤振る舞いの標本祭り

標本教室の会場に到着すると驚きの連続でした。
根津さんは封入用にカエルの全身骨格を準備してくださったのです。

事前に封入物をカエルの骨格でリクエストしていたのですが、時間の都合で部分的な標本になることが伝えられていました。
まさか全身骨格を封入できるとは思っていなかったので、これはとても嬉しい。

用意していただいたツチガエルの全身骨格。

そして、カエルの他にも封入したいものを選んで良いとのことで、私の目の前で続々と作業台にケースを重ねていく根津さん。
甲殻類や昆虫類を中心にかなりの数があります。

ザリガニやタランチュラなど続々と出てきます。

しかし大きな封入物を選ぶのは良くないらしいです。
封入に必要な樹脂の量が多くなって硬化までの時間が長くなってしまうのだとか。
ダイオウグソクムシはさすがに時間が足りないですよね…

ヤスデくらいがMAXのようなので私はヤスデを選びました。
さらに、ここには写っていませんが透明標本のスズキも封入させていただくことに。

標本作製

ツチガエル、ヤスデ、スズキの3標本を封入します。

封入作業

樹脂は一度に流し込むのではなく、1層・2層・3層と分けて型に入れます。
1層目は標本の土台部分です。
2〜4時間でゼリー状に固まってきます。

固まってきたところで封入物を上に置き、2層目を流し込みます。
封入物が浮き上がらない量が目安だと教えていただいたので、おおよそ型の半分くらいを2層目としました。 

2層目の樹脂を流し入れました。

(封入物の浮力の大きさに合わせて樹脂の量や固定方法は適宜調整。)

2層目に関しては気泡がなるべく入らないような向きで封入物を置くと綺麗に仕上がります。

3層目は2層目が固まり、封入物が動かなくなったら作業開始です。
2層目の上から樹脂を流し込み封入します。
最後は型ごと真空状態にして減圧します。

減圧器の様子。気泡が樹脂の外に出ていく様子が見えます。

減圧は気泡を無くすために必要な工程だそうです。また、樹脂の発熱で空気が膨張し、亀裂が入ることがあるらしく、それを防ぐ狙いもあるようです。

離型と研磨

樹脂が硬化した標本を型から取り出しました。

樹脂の硬化を待つ間に別の標本(アオスジアゲハ)を使用して型からの外し方、研磨の手順を学びます。
封入が終わった後、数日放置すると樹脂が硬化します。
硬化すると樹脂が収縮するので型と樹脂に空隙ができます。

空隙ができたら製氷皿から氷を取り出すのと同じ要領で標本を取り出します。
離型後、標本の表面はベタついた状態になっているのでアセトン(ネイルリムーバー等)で拭き取ってから耐水性の紙やすりで研磨をします。

研磨(自宅にて)

自宅で続きの作業を進めました。

標本教室の時間内ではさすがに完成までは辿り着けませんでした。
途中だったアオスジアゲハの研磨作業を自宅でも進めてみたので、その様子を書きます。

耐水性の紙やすりを少しずつ目の粗いものから細かいものまで段階を踏んで使い分けていきました。
180、240、600、1000、1500、2000。
とりあえず6段階で進めます。

研磨を進めると粉になった樹脂が舞います
換気、マスク、ゴーグル等で対策が必須のように思いました。

180~600番の耐水性紙やすりで研磨した様子。

600番の使用後は透明感が少し出てきました。
さらにやすりがけを進め、1000~2000番の使用後は粗いやすりでついたスジがほとんどなくなってきた感じがします。

水で樹脂の表面を流してスジの確認、気になるところを見つけてはわずかに研磨。そしてまた水で表面を流す…
繰り返すうちに水洗いと研磨の間隔がしだいに短くなっていき、耐水性の紙やすりを使用した工程が終わりました。
その後は金属用研磨剤に切り替えて仕上げに入ります。

ピカールでの研磨。とても綺麗に仕上がりました。

研磨剤はピカールを使いました。
ピカールでの研磨はやわらかい布を使用します。
今回採用したのはマイクロファイバークロスです。

完成した封入標本。

初めてにしては良くできたのではないでしょうか。
完成した封入標本を撮影したときに気づいたのですが、構えたスマホが反射して写り込んでいます。

予想以上の仕上がりに大満足です。

まとめ

お土産にたくさんの標本をいただきました。

初めての封入標本づくり。
実際に作ってみた結果、ひとつの標本を完成させるまでには数多くの工程を丁寧に進める必要があることがわかりました。
とても短期間で作れるものではないのですね。

博物館に行けば簡単に見られる標本ですが、その展示の裏にある作り手の努力に想いを馳せると展示の見方もまた変わってくるのではないかと思います。

お土産標本もたくさんいただき、この後も引き続き自宅で研磨ができそうです。
樹脂の硬化を待っている時間にはお昼をご馳走になり、至れり尽くせりの標本教室。

初ジビエ、美味しかったです。

とても充実した時間が過ごせました。
ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました